私は大学卒業後、公務員として5年以上勤めていましたが、休職しました。休職する理由は、適応障害です。今回は、適応障害になり休職した経緯の話をします。
キャパオーバー休職前
当時私が担当していた業務は、データの入力、整理や分析といった事務でした。担当していた仕事は好きでした。けれど、仕事量は多く、日々締め切りに追われていました。
それでも、なんとかこなしていたんです。私は子持ちですが、同じ部署には他にも子持ちの同僚がいて何かと助けてくれたし、仕事内容は好きで私は誇りをもって働いていました。
あるとき人事異動があり私の部署の人員が減りました。部署全体の仕事量が減ったわけではないため、私の仕事量は急増。
さらに、私を助けてくれた同僚も異動でいなくなり、自分ひとりでこなさなければならなくなりました。
私の仕事量は多くなりましたが、こうなる前からすでに私はいっぱいいっぱい。子持ちで残業もできないし、仕事の持ち帰りも在宅勤務も認められていません。限られた勤務時間内で仕事をこなすために、私は自分の休憩時間を削って働きました。
休憩もせずに働いても仕事は一向になくなりません。勤務時間中は電話対応に追われ、自分の担当業務は手を付けられなかったからです。
仕事が思うように進まないことで精神的にも追い詰められ、胃腸が不調になり不眠症が悪化しました。
よく眠れていなかったし、ろくに食べてもいなかった。うつ状態だったんでしょう。思考がまとまらず、仕事が捗りません。けれども、タスクはどんどん山積みになっていきました。
突発性難聴の発覚
仕事中に男性上司が私に声をかけました。
「ここ、いつきたっけ?」
私は「平成〇年の春ですね」と返しました。部署に異動してきたのはいつなのかと質問されたと思ったからです。
けれど、ダンディー上司は
「いやいや、『こども、いくつだっけ?』と聞いたんだよ」と笑って言いました。
私は聞き間違えをしていることに驚きました。どうやら自分の耳がおかしい。そういえば、最近よく聞き間違いしていることに気が付きました。
すぐ耳鼻科を受診しました。「聞き間違いがひどく電話で聞き取りづらい」と話すと、早速、聴力検査、鼓膜の動きの検査などをしました。検査で低音難聴であることがわかり、突発性難聴の治療をすることになりました。
医師は「疲労、不眠、耳鳴り、めまいどれかないですか」と私に尋ねました。どれも私には思い当たります。耳鳴りやめまいといった不調も気のせいと思って、それまで自分が体調不調でも働いてきました。いましたが、どれもここでようやく自分の体が異常、おかしいと自覚しました。
お茶くみ雑用をやめたい
人員削減により仕事量が増え体調を崩すにいたるまで、私は何もしなかったわけではありません。人員削減されるのは数か月前から予想していたので、仕事のやり方は見直してきました。
人員が削減されたときには、上司に「仕事が多すぎる。担当業務をこなすだけで精一杯。このままでは体調が悪くなる。担当業務以外のこと、とくに雑用を減らしてほしい。」と相談しました。
上司に相談する前に私は危惧していたことがありました。それは自分がADHDだとバレてしまうこと。
それまで私は医者に診てもらったことはなかったけれど、「自分はADHDかもしれない」と思っていました。苦手なことが多く、お茶くみ・雑用も苦手なことの一つ。
「雑用、お茶くみが大変なんです」と私が訴えても、普通の人はなんてことない、超簡単なこと。私が強く主張すればするほど、上司は「どうして難しいのか」と疑問に感じるでしょうし、ただやりたくないだけワガママにも見えてしまうでしょう。
上司に相談することはとても勇気のいること。けれど、上司に相談し仕事をどうにか減らしてもらわないと私はおかしくなってしまう。だからこそ、上司に直接訴えたんです。
上司は、私に「仕事は決まっているから減らせない」「お茶くみや雑用もこなさなければならない。」と言い、私の主張を一蹴しました。
さらに、「お茶くみは女性の問題。」「有給をとらせてやって、偉い上司だろ。」「部下の心配なんてしたことない。するやついるか。」など笑って言っていました。
私は、もうこの上司に相談しても無駄だと感じ、さらに上の上司に相談しました。
上の上司は、私の体調を思いやってくれましたが、対処が悪かった。
相談した翌日に、その上司は「〇〇さんは体調不良だからお茶くみしなくてよい」と指示をしました。けれど、これを聞いた人は「体調不良だからお茶くみしなくてよいってどういうこと?」と疑問に感じるわけです。
私の職場ではお茶くみは女性が担っていました。私は「女性だけがお茶くみをやるのはおかしいから、みんなでやるか、各自でやってほしい」と上司に訴えたけれど、結果は私だけがお茶くみ免除。私だけズルしているようにも見えるので、周囲の反応は冷たいものでした。
お茶くみ雑用はやらなくて済んで楽になるはずが、かえってつらい状況になりました。私は周囲の反応を見ないで済むようにパソコンをにらみつけて仕事をしましたが、胃が痛いしタスクはたまるばかり。そんな状況で数日間過ごしました。
心療内科へ
低音難聴が判明し、夫が「休職したほうがいい」とすすめたので、私は心療内科にかかりました。
初めて心療内科にかかりましたが、男性の医師は穏やかな声で「どうして受診されましたか」と聞きました。私は、「突発難聴の治療をしていて、仕事がつらくて休職したい。転職も考えている。」「以前から生活や仕事で困っていることがあり、ADHDかもしれない」と話しました。医師は私の仕事内容や生活について質問しました。
医師は、私に「適応障害です。あなたはADHDの可能性が高く、今の職場環境であなたの特性だと仕事をするのが難しい。ADHDの薬は処方できるけれど、まずは緊急性のある突発性難聴の治療を優先しましょう。」と説明し、休職の診断書を出してくれました。
私は、もらった診断書を職場に提出し、休職しました。
適応障害でも大丈夫
私の仕事は事務、内勤で時短勤務でした。月何十時間も残業している人に比べたら、私の仕事なんて大したことないし、責任もそれほどでもないでしょう。この程度の仕事量で挫折するなんて自分はダメなやつ、社会人としてダメなんじゃないかと悩みました。
けれど、仕事量ではないんですよね。適応障害って特定の状況がその人にとって大きなストレスになってしまうわけで、私がその職場環境に合わないだけなんですね。
「環境が変われば私は大丈夫、働ける」と思った私は、その後転職活動をしました。