以前のこちらの 『公務員試験受験者へ、志望動機は熱い気持ちを語るな』というタイトルの記事で「社会をよくしたい」「社会を変えたい」と熱意をもち公務員になったが、自分のやりたいことができないが多いという話をしました。では、公務員になったら自分がやりたいことを諦めるしかないのでしょうか。夢をもてないのでしょうか?
私は、そんなことはないと思います。志望動機を工夫することで、入庁数年後には自分の希望通りの業務を担当できました。
今回は自分がやりたいことをかなえるために履歴書・志望動機はどのように書くべきかをまとめます。
公務員試験でNGな志望動機『社会貢献』
公務員採用試験では、志望動機に「社会を変えたい」「社会をよくしたい」「社会のために働きたい」と述べる人が多いです。
けれど、社会を変えるには公務員でなくてもいいんです。民間企業に就職することで社会を変えることもできます。社会奉仕がしたいのであれば、ボランティア活動をしてもいいですね。
公務員でなくても社会のために活動できます。だから、「社会を変えたい」「社会をよくしたい」「社会のために働きたい」という内容は公務員試験の志望動機としては弱いのです。
公務員試験で『変革する強いリーダー像』は求められていない
また、「社会を変えたい」と主張するのも好まれないでしょう。「世の中のこういうところが悪い!私が社会を変えます!」と熱く語っても、よほど優秀な人物でなければ採用担当者は疑問に感じてしまうでしょう。
そもそも公務員採用試験では「社会を変革する強いリーダー」はあまり求められていません。公務員の仕事の大半は「社会システムを支える」ことです。「社会システムを変える」ほどの力があるのは、行政の首長のほうです(市長、町長など)。
公務員の立場で社会システムを変えられるようになるのは出世してからになるでしょう。一職員が社会を変えるのはかなり難しいことです。
公務員として職務を遂行する上で現状に問題意識をもつことは重要ですが、採用試験の場で強調しすぎるのは避けたほうがよいでしょう。
希望の仕事をするための志望動機の書き方
先ほど「公務員は社会を変えることができない」と述べましたが、「やりたい仕事ができないのでは」と不安に思う人もいるでしょう。希望・夢をもち公務員を志したのに、それを打ち砕くようですみません。
けれど、私はやりたいことを諦めるようにすすめるつもりはありません。公務員試験に合格し、さらに希望通りの仕事ができるようにどんな履歴書・志望動機を書けばよいか説明します。
公務員採用試験・志望動機には何を書けばいいのか?
公務員採用試験の志望動機では『自分にはどんなスキル経験があり、自分は公務員の適性がある』と述べることが大切だと私は考えます。
ただし自分が得意なことをなんでも書けばいいわけではありません。あくまでも行政の職務の中で求められることです。
私は初級システムアドミニストレーター(現ITパスポート)の資格をもっています。志望動機には「大学在学中にITについて学びスキルを生かして働きたい」と書きました。
公務員を志望する理由は他にもありましたが、それらは書きませんでした。また、自己PRにもアルバイトの経験やサークル活動などは書きませんでした。
なぜなら、他の理由もアルバイトやサークル活動での経験も、私が希望する職種にはあまり関係しなさそうだったからです。
人によっては、アルバイトや前職、趣味が公務員で生かせることもあるでしょう。例えば前職で会社の経理をしていたとか。資格や特技、経験が公務員での仕事と関連するのであれば、志望動機にすればいいと思います。
ポイントは、志望動機は内容はできるだけしぼること。面接時間はそんなに長くありません。『あれもこれもできます!』と書けば、どんな人物でどんなことができるのかわかりにくくなります。面接ではわずかな時間で自分をPRするのだから、履歴書・エントリシートに書くことはシンプルにまとめるといいですね。
やりたいことと自分ができることの一致
「今まで経理の仕事をしていたが公務員になったら経理関係の仕事をしたくない」そういうこともありますよね。
そんな人が履歴書・志望動機などで経理での経験を協調したら、公務員になっても予算関係や庶務系の職務を担当する可能性は高いでしょう。
もしあなたが公務員になってやりたいことがあるならば、履歴書・志望動機ではしっかりそれを述べることが重要です。
ただし、ただやりたいと主張するだけではなく、その主張を裏付けるような経験、資格、スキルなどをアピールことも必要です。
人事が求めるのはどんな人物か?
もし未経験の職務を担当したいのであれば、公務員試験の勉強だけではなく資格取得したり実績を作るために何らかの活動をするほうがよいでしょう(これは公務員試験に限らず就職転職活動全般でいえることです)。
そもそも人事採用側が求める人物でなければ採用されません。
私が「ITスキルを生かして働きたい」と書いたのには、人事採用担当者はそれを望んでいると考えたからです。
私が公務員試験を受験したとき、電子マネーやネット取引、SNSが普及し始め、役所もIT化がすすめられている時代でした。技術職ではない事務職員でもITに関する知識があるほうがよいのでは?と考えたからです。
また、私が志望したのは法務系の機関で受験者は法学部出身が多いようですが、初級シスアドの資格を持つ人は受験者の中ではほんの一握り。「ITの資格もってます」とアピールすることは他の受験者と差別化できるからです。
人事採用側が何を望んでいるか考えることは大切です。けれど、内部事情を人事採用担当者はなかなか教えてくれないかもしれません。私の読みはたまたま当たっただけで、勘です。
みなさんはちゃんと調べて分析することをおすすめします。職員の知り合いから話を聞いたり、OBOG訪問をするのも手ですね。
自分の希望がかなわなくてもあきらめない
最初の配属は自分の希望とは異なることもあります。むしろ希望通りにいかないことのほうが多いでしょう。それは先に説明した通り、多くの公務員はさまざまな部署で幅広く経験するように求められるからです。
自分の希望通りにはなりにくいとはいえ、自分の希望が叶うこともあります。私は入庁後、異動希望を出し続け数年後に希望の部署に配属されました。
異動希望も履歴書や志望動機と同じです。「自分は○○をやりたい」というだけでなく、経験、資格、スキルなどが重要です。
私の場合、最初配属された部署と私の希望はかなりずれていたので、入庁後に内部の資格試験を受験して少しでも人事の目に留まるように努力しました。その結果、自分の希望がかなったと私は考えます。
どう書けばいいかわからない方へ
ここまで公務員試験で合格するための履歴書・志望動機を書くコツについて説明しましたが、いざ書き進めたらどうやって書けばいいのかわからない方もいるでしょう。
自分のことは自分が一番理解しているはずなのにうまく書けないものです。私、Blackyは、公務員試験の相談をうけています(有料)。個別に相談したい方は、こちらからお問い合わせください。